---
title: 【第9話】ゴム草履
description: "セイノーロジックス前社長、渡辺景吾が、時評、世風、個人の回想、命などをテーマに自由奔放に書き記したエッセイ「ゐねむりゑびす」 

著／渡辺景吾"
---

[コーヒーブレイク｜セイノーロジックス株式会社 ](https://www.logix.co.jp/coffeebreak)

# [【第9話】ゴム草履](https://www.logix.co.jp/coffeebreak/20230731)

 作成者: [セイノーロジックス株式会社](https://www.logix.co.jp/coffeebreak/author/セイノーロジックス株式会社)｜2023.07.31

*～ セイノーロジックス創業社長、渡辺景吾が執筆したエッセイ「ゐねむりゑびす」から ～*

静岡県にあるK学園は、様々な理由で両親と暮らせない子供たちの施設だ。ここの学園長はボクの父の親友だったので、少年時代のほぼ毎年の夏、ボクは父に連れられてK学園に行き、何十人もの子供たちと遊んでいた。西伊豆の土肥や戸田の小学校を借りて合宿し、遠泳をしたり、町の掃除をしたり、夕食のために魚や貝を採ったり。ボクたちはいつも海水パンツにランニングシャツ、それにゴム草履という格好だった。

ある日の夕暮れ、四、五人で、満潮の防波堤の上を歩いていたら、ボクが振り上げた足からゴム草履が飛んで海に落ちた。釣り竿でつつくと、ゴム草履はどんどん遠くへ行ってしまった。

「いいよあんなの、帰ろう」とボクが言うと、ひとつ年下のS君がザブンと海に飛び込んで、そのゴム草履を取ってきてくれた。ボクにゴム草履を渡して「もったいないよ」とS君は言った。ボクは恥ずかしくて礼も言えず、「いらないのに」と心にもないことを口にした。S君の濡れた肩で夕陽が光っていた。

後で父に言われました。飛び込む勇気がなかったのは仕方ない、でも礼を言う勇気がなかったのは情けない、と。でも結局ボクはS君に「ありがとう」の一言を言えなかった。明日言おう、明日言おうと思いながら、とうとう夏休みは終わってしまった。

あれから四十年が経った。S君、きっと君はすごい男になっているんだろうね。君がボクを忘れても、ボクは君を忘れられない。

[完全な記事を表示](https://www.logix.co.jp/coffeebreak/20230731)

```json
{
  "@context" : "http://schema.org",
  "@type" : "BlogPosting",
  "author" : {
    "@type" : "Person",
    "name" : "セイノーロジックス株式会社"
  },
  "dateModified" : "2025-07-18T08:30:04.241Z",
  "datePublished" : "2023-07-31T02:01:02Z",
  "headline" : "【第9話】ゴム草履",
  "image" : {
    "@type" : "ImageObject",
    "height" : 60,
    "url" : "/hs/hsstatic/content_shared_assets/static-1.4092/img/default-amp-logo.png",
    "width" : 60
  },
  "mainEntityOfPage" : "https://www.logix.co.jp/coffeebreak/20230731",
  "publisher" : {
    "@type" : "Organization",
    "logo" : {
      "@type" : "ImageObject",
      "height" : 60,
      "url" : "/hs/hsstatic/content_shared_assets/static-1.4092/img/default-amp-logo.png",
      "width" : 60
    },
    "name" : "コーヒーブレイク"
  }
}
```