~ セイノーロジックス創業社長、渡辺景吾が執筆したエッセイ「ゐねむりゑびす」から ~
仏の位では「如来」が最高位だ。大日如来、阿弥陀如来、釈迦如来などがそうだ。その次が「菩薩」で、観音菩薩、地蔵菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩などがある。その下に「明王」「天部」と続く。
チベット仏教は密教なので大日如来を崇拝している。その生まれ変わりがパンチェン・ラマだ。そして観音菩薩の生まれ変わりがノーベル平和賞のダライ・ラマだ。それぞれ妻帯を許されていない。十四世ダライ・ラマと十三世ダライ・ラマには血のつながりはないので、輪廻転生の儀式で選ばれたものが後を次ぐ。この儀式はブラピが主演した『セブンイヤーズ・イン・チベット』に出てくる。
面白いのは、菩薩の化身であるダライ・ラマのほうが、如来の化身であるパンチェン・ラマよりも圧倒的に力を持っていることだ。ドイツの大統領と首相のようだ。しかし、宗教でこれはどういうことか。現在ダライ・ラマは国外追放の身であるが、チベットにいるパンチェン・ラマよりもチベット民族の心の支えとなっている。
密教は現世利益をモットーとしている。大日如来は確かに偉いけれどずっと遠くにいて何もしてくれない。しかし観音菩薩はもっと人々のそばにいて、手を差し伸べてくれる。この現実性がダライ・ラマ崇拝の背景にある。しかしそうは言っても、観音さまの仲間である弥勒菩薩は五十六億七千万年後に地上に降りて人々を救ってくれるらしいが、ちょっと長過ぎないだろうか。
ところで、原発に「もんじゅ」とか「ふげん」とか菩薩の名前が付いているのはなぜだろう。ズルいというか不愉快だ。