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和牛の海上輸送における実務上の留意点

作成者: セイノーロジックス株式会社|2026.04.02

和牛の輸出は、厳格な温度管理と複雑な輸入国規制への対応が求められる難易度の高い実務です。この記事では、航空便からコスト効率の良い海上輸送へ切り替える際の注意点や、輸送トラブルを回避する具体的な対応策を解説します。

 和牛の輸出を取り巻く現状と特有の輸送課題

日本食ブームを背景に、海外での和牛需要は急速に高まっていますが、和牛の輸出には高いハードルがいくつも存在します。

厳格な「輸出規制」と「施設認定」

日本から輸出する牛肉は、日本と当該相手国との二国間合意に基づき、輸出先国の衛生条件に適合するとして認定されたと畜場又は食肉処理施設において処理された牛由来である必要があります。

例えば、米国やEU向けにはそれぞれ異なる認定基準がありますが、この基準をクリアできる対応施設は限られています。

 肉質の生命線である「温度管理」

牛肉に含まれるオレイン酸は、甘みや風味、口溶けの良さにつながる不飽和脂肪酸の一種です。和牛はオレイン酸が豊富に含まれていることが特徴で、他の牛肉よりも融点が低く、温度変化によるダメージを受けやすい性質があります。
海上輸送における輸送日数は仕向地によって数日(アジア)~十数日(アメリカ)にわたりますが、その間も冷凍状態を保ち続ける必要があります。 温度が上昇すれば、解凍・再凍結によって肉の細胞が破壊され、旨味や栄養分を含む組織液が流出する現象「ドリップ」が発生し、現地到着時には色も味も劣化してしまいます。

利益を圧迫する「輸送コスト」 

海外進出の初期段階では、海上コンテナ1本を満たす量(FCL相当)の注文が入ることは稀です。 
このとき、多くの企業が「小口貨物なら航空便」という選択をしますが、そこには高額な運賃という大きな壁が立ちはだかります。せっかく海外で和牛が高値で取引されても、多額の輸送費が利益の大部分を相殺してしまう、あるいは赤字になってしまうというケースも少なくありません。

「コストを下げたいが、品質は落とせない」
このジレンマを解消し、利益を確保しながら着実に販路を広げるためには、小口貨物でも利用でき、かつ厳格な温度管理が可能な「冷凍の海上混載便」を活用するのが最も現実的な選択です。

1本のコンテナを複数のお客様でシェアする「冷凍の海上混載便」 は、小口貨物でも海上輸送のコストメリットを活かせる仕組みです。 

ひんやり(冷蔵)混載・ばりひえ(冷凍)混載サービスページ

 輸出の具体的な流れと実務上の注意点

和牛の輸出フローは、大きく分けて「書類準備」「梱包」「現地通関」の3段階です。

 1. 【書類準備】認定施設と証明書様式の事前確認
和牛は、輸出先の相手国が指定する認定施設で処理されたものしか輸出できません。
輸出が認定された処理施設については、農林水産省が国ごとにリストを公開しており、輸出者はこの中から仕入れ先を選定する必要があります。
なお米国向けやEU向けなど、国ごとに認定施設リストが異なることにも注意が必要です。
輸出を検討する際は、仕入れ先の施設がその国の認定を受けているか必ず確認しましょう。
また、国ごとに異なる「検疫証明書」の様式が定められています。
動物検疫所での手続きには時間がかかるため、余裕を持ったスケジューリングが必要です。

動物検疫所: 畜産物の輸出入 
https://www.maff.go.jp/aqs/tetuzuki/product/index.html

動物検疫所:偶蹄類の畜産物の輸出
https://www.maff.go.jp/aqs/hou/exguuteirui2.html

農林水産省:証明書や施設認定の申請(牛肉) 
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hq/i-4/yusyutu_shinsei.html

 

2. 【梱包】温度管理と海上混載輸送に耐えうる梱包の重要性 

海上輸送では、コンテナ内の高温・高湿度環境や積み重ねによる荷重など、航空便とは異なる条件への対応が求められます。
輸送中の温度管理には「リーファーコンテナ」を使用します。
「冷凍の海上混載便」 は、小口貨物でも出荷できコストメリットを活かせる仕組みですが、混載輸送では多種多様な貨物が上下に積み重なるため、品質維持にはコンテナ内の「冷気の通り道」の確保が欠かせません。加えて、リーファーコンテナには庫内の湿度を独立してコントロールする機能が標準では備わっていないため、コンテナ内は高湿度になりやすい環境です。
そのため通常の段ボールを使用すると、湿気で強度が低下し、積み重なった貨物の重みで箱が潰れるおそれがあります。箱が潰れると商品が物理的なダメージを受けるだけでなく、冷気の循環が遮断されて庫内温度が上昇するリスクにもつながります。
混載輸送では、梱包が品質管理の要です。積み重ねの荷重に耐えられる強度と、他の貨物と隙間なく積み付けられる形態、この両方を満たす梱包が、安定した温度管理と和牛の品質保持に直結します。

 

3.【現地通関】通関遅延を防ぐ「ドラフト照合」
最も頻発するトラブルは、衛生証明書の微細な記載ミスによる通関の足止め(ホールド)です。
ホールドが数日に及び貨物が倉庫に滞留すると、追加の保管料が発生するだけでなく、長期化すると和牛の鮮度も損なわれます。
こうした事態を防ぐためには、輸出前に証明書のドラフト(下書き)段階で、現地の輸入者やフォワーダーと内容を照合しておくことが、最も効果的なリスク回避策となります。

和牛の輸出:3つのポイント

1. 事前確認・書類準備
・「この牛肉は、輸出OKな認定施設で処理されたものか」を、農林水産省の一覧で確認する。  
・ いつ出荷したいかを決めたら、1週間くらい前を目安に、フォワーダーや動物検疫所に相談し早めに必要な書類を準備しておく。

2. 梱包強度
・冷凍で送る前提で、湿度・重ね積みに強い段ボール(強化・撥水タイプ)を選ぶ。  
・パレットに積むときは、崩れ防止のラップ巻きなどで、海上輸送でも動かないように固定する。

3. 現地通関対策
・インボイスや船荷証券(B/L)、検疫証明書などは、本番発行の前に「ドラフト」(下書き)を輸入者に見せて確認してもらう。  

セイノーロジックスのリーファー混載サービスに関するよくある質問(FAQ)

Q. 荷量が少ないのですが、引き受けてもらえますか?
A. はい。少量の出荷の場合は、スペース分の費用で輸送ができる弊社の「リーファー混載(ばりひえ・ひんやり混載)サービス」が最適です。海上便であっても保冷により品質を保持しながら輸送でき、航空便に比べてコストを抑えることができます。

【参考概算金額(2026年4月現在) 】2パレット/2.00M3/800kgの場合

  海上混載輸送 航空輸送
  SINGAPORE  (冷蔵) ¥150,000 ¥300,000
 HONG KONG (冷凍) ¥130,000 ¥210,000
 KEELUNG (冷蔵)  ¥150,000    ¥240,000  

※弊社指定CFS搬入~通関~現地CFS到着までの概算料金です。
※動植検・保管料・実費作業料等は含んでいません。 

Q. 航空便から切り替えると、出荷のタイミングが難しくなりませんか?
A. 海上輸送は「コンテナが一杯になるまで待つ(FCL)」というイメージが強いですが、弊社の混載サービスでは定期スケジュールをご案内しておりますので、現地の在庫状況に合わせて「必要な時に、必要な分だけ」計画的に出荷でき、鮮度の高い商品の安定供給につながります。

 【配船例(2026年3月現在) 】 

   ひんやり (冷蔵) ばりひえ(冷凍)
 LOS ANGELES   月1便   月1便 
 SINGAPORE   月2便 (隔週)   月2便 (隔週) 
 HONG KONG   月2便 (隔週)   月2便 (隔週) 
 PUSAN   月2便 (隔週)   月2便 (隔週) 
 KEELUNG   月2便 (隔週) 
 TAIPEI   月2便 (隔週) 

 ▶ばりひえ(冷凍)・ひんやり(冷蔵)スケジュール検索(船積み形態:Reeferを選択してください) 

Q. 初めての輸出で、何から手をつけたらよいか分かりません。
A. まずは商品、仕向国と予定物量をお知らせいただき、お気軽にご相談ください。お客様が商品をスムーズに出荷できるようサポートいたします。