~ セイノーロジックス創業社長、渡辺景吾が執筆したエッセイ「ゐねむりゑびす」から ~
イヌ派かネコ派かと言えば、ボクは間違いなくイヌ派だ。子供の頃、カギッ子だったボクは度々カギをなくして家に入れず、飼い犬といっしょに何時間も犬小屋で両親の帰りを待っていた。だからどのイヌも兄弟のような気がする。それが伝わるのか、イヌも私に吠えたりしない。
隣の大型犬ラブラドール・レドリバーのA君がボクに会いたくてクサリを引きちぎり、我が家のドアをこじ開けて2階で眠るボクのベッドに侵入してボクの顔を舐めまくった「ラブラドール夜這い事件」を近所で知らない人はいない。
その時ボクは愛犬ヨークシャとベッドを共にしていたのだが、ヨークシャが狂ったように吠えるのに驚いて強盗に襲われたと勘違いしたボクはA君を壁に放り投げてしまった。愛のためか、A君はこの時の恨みをボクにぶつけずヨークシャにぶつけて、後日我が愛犬ヨークシャの犬歯を左前足のパンチで折るという事件に発展した。平和な町で起きたこの猟奇事件は、話題の少ない主婦の間で今でも語り継がれている。
イヌもDOGもあまり良い意味では使われないが、ボクは間違いなくイヌ派だ。DOGという字をジッと見ていたら、DOGを逆さまにするとGODだと気づいた。別にどうという意味はない。

