2026.08.31

【第44話】宇宙について

~ セイノーロジックス創業社長、渡辺景吾が執筆したエッセイ「ゐねむりゑびす」から ~

草むらで休む巨人が大きく大きく息を吸って、ゆっくりとゆっくりと息を吐く。このひと一呼吸をボクたちは永遠と呼び、この時の巨人の口の中を宇宙と呼ぶのだと、ずいぶん幼い頃からそう思い、今もまだそう思っている。何百兆年も生きるその巨人にとって、宇宙や地球そして人類の誕生が自分の口の中で起こり、そして終焉するということなど無に等しい。次のひと一呼吸でも同じように宇宙の誕生と終焉があるのだから、そんなことを考えるだけでも煩わしいに違いない。ボクたちはそんなちっぽけな存在だ。でもボクはその巨人の存在を頭の中の宇宙で想像することができる。宇宙とはどこにあるのだろう。

空を見上げて、ああ、あの空の彼方には巨人の上アゴがあるのだなと思うのだが、最近、待てよ、ボクの口の中にも宇宙があって、そこにはたくさんの宇宙人の営みがあるのではないかと考えるようになった。そう思うと、しばらく息を止めて「その宇宙」の延命に協力したりするのだが、ゼーゼー言って、その次の宇宙が短命に終わってしまったりする。

偉い学者は「酸素がないから宇宙人は存在できない」と言うが、それはあまりにも視野が狭いのでは、と素人のボクは思う。宇宙人は「あの猛毒の酸素を吸って生きているヤツがいる」とボクたちのことを驚きと軽蔑を持って観察しているかもしれない。

だいたい宇宙人は人間と同じ大きさだという考えがエゴだ。たとえばオリオン座のM78星雲には身長50メートル前後のウルトラマンが存在すると考えるのが限界で、身長が10キロもあったり、逆に1ミクロンしかないような宇宙人については考えない。特にちいさいと軽視して、細菌あつかいだ。

しかし待てよ、人間が地球人なんて誰が決めたんだ。火星にはナノ単位の火星人がいて、彼らはすでにゴキブリを地球人と認定し、交流している可能性だってあるのに。