2026.10.30

【第46話】アイフル犬

~ セイノーロジックス創業社長、渡辺景吾が執筆したエッセイ「ゐねむりゑびす」から ~

わが愛犬ヨークシャのチコも年老いて、近頃は二階への階段を途中までしか登れない。一度止まってしまうと、もう動けない。くぃーんくぃーんと鳴くのでのぞいて見ると、かつてのTVコマーシャル『どうする? アイフル』風にチコが上を向いて助けを求めている。「がんばれ、、あがってこい」と手を叩くと、前足を上の段に乗せてトライしようとするのだが、勇気が出ないらしく、身体を前後に揺するだけだ。そしてアイフル目でボクを見上げる。しょうがねえなあ、とボクは愛犬を抱いて二階にあげてやる。どうやらこの癖がついたようで、最近は途中まであがればOKと思っているフシがある。

先日二階でアゴが痛くなるほどスルメを食べていると、妻との散歩から帰ってクサリもはずしていないのに、意地汚いわが愛犬は脱兎のごとく階段を駆け上がってきた。
「なんだコイツ、自分であがれるじゃないか」
ちょっとムカついた。次の日の夕方、また階段の途中でくぃーんくぃーん鳴くので「うるさい! 自分であがってこい」と無視していたが、いつまでもうるさいので行ってみると、またアイフル目でボクを見ている。この目に弱い。またの負けて抱きあげてしまった。

聞く所によると、ボクの出張中は自分で二階まであがっているらしい。完全に舐められている。