2026.05.14

握りたてのおいしさを海の向こうへ!冷凍寿司の海上混載輸送ご利用事例

「日本で食べたあの味が忘れられない。」
海外では、もう日本食は特別なものではなく、日常の選択肢として根づいてきました。そうした中で求められるのは、きちんとおいしさを保ったまま届けることです。

小口の冷凍食品を輸出する場合、これまでの選択肢は高コストな航空便か、リーファーコンテナ1本分の物量が求められる FCL(Full Container Load) が主流でした。航空便では商業ベースでの継続が難しく、かといってFCLでは十分な物量が集まるまで出荷を待つ必要があり、海外展開へのスピードを損なう要因となっていました。

セイノーロジックスは、デイブレイク株式会社様と連携し、冷凍寿司を海上混載で米国へ輸送する取り組みに挑戦しました。輸送中の温度推移も確認し、品質と運用の両立を検証した事例です。

お客様のご紹介

デイブレイク株式会社 様

・特殊冷凍機「アートロックフリーザー」の開発・販売、および高品質冷凍食材の流通事業を展開

・日本から米国へ向けて、特殊冷凍技術を用いた「冷凍寿司」の輸出に挑戦 

お客様の状況と課題

「冷凍寿司」の米国輸出における技術と物流の障壁 

特殊冷凍技術により、シャリとネタが一体となった「冷凍寿司」の海外展開を目指すデイブレイク様ですが、米国への安定的な輸出には解決すべき構造的な課題がありました。

まず、技術面での常識という壁。「ネタは冷たく、シャリは人肌」が美味しいとされる寿司は、温度管理が難しく、これまでは「シャリとネタを分けて凍らせる」のが業界の通例でした。ネタの鮮度とシャリの食感を両立させたまま、握りたての美味しさを海外へ届けるには、これまでの常識を覆す冷凍技術と、それを支える厳格な輸送管理が必要不可欠でした。

次に、物流面でのコストと物量のジレンマ。小口の高品質貨物を輸送する場合、これまでの選択肢は高コストな航空便か、リーファーコンテナ1本分の物量が求められるFCLが主流でした。しかし、航空便は運賃負担が重く、FCLは物量が集まるまで出荷を待たねばなりません。こうした制約は海外展開のスピードを削ぐだけでなく、事業としての持続可能性(サステナビリティ)を阻む大きな壁となっていました。

さらに、海上輸送における環境リスクも大きな懸念事項でした。夏場の航路ではコンテナ内温度が一時的に60℃近くに達することもあります。日本国内での梱包から、現地で荷解き(開梱)されるまでの約40日間、マイナス20℃帯の冷凍状態を一貫して維持し続けることは、極めて難易度の高い挑戦でした。

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特殊冷凍×冷凍混載で「冷凍寿司」を海の向こうへ

冷凍寿司は、わずかな温度変化が品質に影響する商材です。デイブレイク様は、米国向けの冷凍輸送について多数の物流企業に相談するも、トライアル輸送まで進められたケースは限られていました。また、トライアルに進んでも、輸送中に管理基準を超える温度上昇が起きて、十分な品質を確保できないケースが続いていました。

今回の検証では、デイブレイク様が『日本で握られた本格的な寿司の美味しさ』をそのまま海外で再現するための商品設計を行い、セイノーロジックスがその品質を崩さないためのハンドリングと輸送設計を組み合わせて、海上混載で米国まで届けることに取り組みました。

「技術」と「梱包」で品質をつくる

デイブレイク様は、冷凍寿司を“握りの状態”で提供することを前提に、商品側で品質を成立させるための対策を重ねてこられました。

冷凍工程では、同社の特殊冷凍機「アートロックフリーザー」を活用されています。強い風をあてる一般的な冷凍機と違い、アートロックフリーザーは優しい風を均一に当てることで、食材へのダメージを抑えながら凍結させるのが特長です。食材の状態を保ったまま凍結させることで、解凍後の高い品質再現につなげています。

また、断熱容器にも工夫があります。資材メーカーとの度重なる検証の末に開発した容器は、外装材と断熱材の組み合わせにより、外部からの遮熱と、内部の冷気保持を狙った仕様です。

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温度が変動しやすい「接点」を小さくする

冷凍寿司の輸送で難しいのは、航海中の温度管理だけではありません。倉庫からコンテナへの積み込み、港での取り回しといった工程の「接点」で、温度は変動しやすくなります。デイブレイク様も過去の検証で温度ロガーを用い、航海中よりも、積み替えなどのタイミングで温度逸脱が起き得ることを確認されていました。

そこでセイノーロジックスは、冷凍・冷蔵混載においても重視している取り扱い品質の考え方に沿って、温度が変動しやすい場面を前提に対策を行いました。ポイントは、貨物が外気の影響を受ける時間を極力短くすること。CFS内の作業手順や動線を整え、積み込み時に滞留が生まれにくい段取りで、接点の影響をできる限り小さくしました。

マイナス20℃前後を維持し続けた、40日間の航跡

デイブレイク様は、輸送中の温度変化を正確に把握するため、貨物に『温度ロガー(温度を測定・記録し続ける精密機器)』を設置。全行程の温度推移をデータとして可視化することで、品質に影響を与える課題を緻密にあぶりだしてきました。過去の検証では、この可視化されたデータに基づき、航海そのもの以上に積み替えなどの『接点』で温度変動が起きやすいことを突き止めていました。

過去のトライアルでは、温度の山谷が頻繁に立つような推移や、温度が高い状態で推移してしまう「高止まり」があり、こうした温度変化が商品にダメージを与えていました。

014-4014-5しかし今回のトライアルでは、温度変化を起こしやすい接点を極力減らすハンドリングを実施したことで、マイナス20℃前後を安定して維持することができました。

実際にロサンゼルス到着後、この冷凍寿司を解凍して試食した方からは、『握った寿司をそのまま食べていると思うほど、作った時と違いがなかった』という驚きの声が上がりました。40日間の長い旅路を経てもなお、握りたての 美味しさ が保たれていたのです。

世界に美味しさを届ける技術

デイブレイク様が見据えているのは、冷凍寿司という一商品の成功にとどまらない、「オーセンティック(本格的)な日本食を世界に届ける」未来。

同社が海外で感じているのは、日本食のポテンシャルの大きさでした。例えば米国のスーパーには寿司の売り場があり、欧州のスーパーの冷凍食品コーナーでは「モチ」が定番商品として売られている光景。日本食はすでに生活の中に入り始めている、といいます。

一方で、海外の現場では商談の進み方も日本とは大きく異なります。名刺交換や会社説明よりも、実際に食べて「美味い、これは何だ」となったところから話が動くこともあります。だからこそ、プロダクトの価値がまっすぐ伝わる状態で、きちんと届ける技術が重要です。

そして視線は、寿司の先にも伸びています。ラーメン、おにぎりといった、日本でつくった美味しさを、海の向こうの売り場までつなげるために。デイブレイク様の挑戦は、次の選択肢を増やす方向へ、すでに走り出しています。

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海外市場への一歩を支える、冷凍混載という柔軟な選択肢

冷凍品の海外輸送を検討する際、これまでは「高くても急ぎに対応できる航空便」か、「まとまった物量でコストを抑えるFCL」という選択肢が一般的でした。しかし、海外展開の初期段階や、多品種を少しずつ届けたい場合には、コストや物量のバランスをどう取るかが大きな課題となります。

今回ご利用いただいた「ばりひえ(冷凍)・ひんやり(冷蔵)混載サービス」は、川崎CFS(東京出港)〜LAX CFSを結ぶ航路で、冷凍(-20℃)および冷蔵(+5℃)の2温度帯に対応しています。日本と現地の双方で保冷倉庫と連携した一貫コールドチェーンを構築しており、小口貨物であっても、その物量に見合ったコストでの輸送が可能です。

また、米国の厳しい輸入規制への対応についても、専門のコンサルティング会社を紹介するなど、実務面での不安を解消する体制も整えています。

冷凍混載での輸出をご検討中の方は、是非セイノーロジックスにご相談ください。

参考情報

2026.02.26 プレスリリース|デイブレイク株式会社

デイブレイクとセイノーロジックス、高品質冷凍食品の海外輸出活性化を目指し、コールドチェーン強化に関する事業連携を開始

https://www.d-break.co.jp/news/press-260226daybreakseinologix/

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