【基礎知識】スムーズな食品輸出のために押さえておきたい「必要書類」と「規制」のポイント

「自社の美味しい食品を海外の人にも届けたい」
そう意気込んで輸出の準備を始めたものの、いざ実務となると「書類」や「規制」の複雑さに直面する企業様は少なくありません。食品は人の口に入るものであるため、各国で厳格なルールが設けられています。
ここでは、食品輸出をスムーズに進めるために、最低限押さえておきたい「書類と規制の基本」をわかりやすく解説します。

1. 輸出手配で必須となる基本の書類

どんな貨物を輸出する際にも、基本として求められるのが以下の2つです。これらは荷主様(輸出者)自身で作成する必要があります。作成に際してお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

コマーシャルインボイス(商業送り状 / Commercial Invoice)

「誰から誰へ」「何を」「いくらで売るのか」を記載した明細書です。貿易を行うにあたって輸出者様―輸入者様間でご商売上も必要な書類です。物流面では輸出入の申告や、現地の税関が関税を計算する際の最も重要な基準となります。

パッキングリスト(梱包明細書 / Packing List)

貨物の個数、重量(Net/Gross)、サイズ(容積)などを記載したリストです。輸出入の通関時や、倉庫での貨物確認に使用されます。どのパッケージにどういった商品がどのくらい入っているかが明確になるため、荷物を受け取る輸入者様にとっても必要な書類です。

2. 食品の輸出時に必要な「追加書類(証明書)」

輸出先の国や輸出する商品の品目によっては、現地の税関や検疫所から以下の証明書の提出を求められることがあります。これらがないと、貨物が現地に到着していても荷物を引き取ることができません。

衛生証明書(Health Certificate)

対象の食品が日本の法律に基づいて衛生的に製造・加工された安全なものであることを証明する公的な書類です。輸出先の国が求めるフォーマットに合わせ、農林水産省や厚生労働省などから取得します。

原産地証明書(Certificate of Origin)

その商品が「日本で作られたものである」ことを証明する書類です。EPA(経済連携協定)による関税の減免を受ける際や、輸出先の国が設けている「特定の地域からの輸入規制」をクリアするために必要になります。

3. 輸出を阻む「原材料」と「添加物のルール」 

食品添加物の違い

食品添加物は、国ごとに許可される物質、使用できる食品、最大使用量、表示方法が異なります。日本で使用できても、輸出先では同じ条件で使用できないことがあるため、添加物は「日本で安全か」ではなく「輸出先で許可されているか」で確認する必要があります。

原材料の規制

海外輸出では、原材料の組み合わせによって規制の扱いが変わることがあります。実務では「少量だから問題ない」とは限らず、原料の由来、加工施設、必要に応じた衛生証明の有無まで確認することが重要です。

4. シップバック(積戻し)を防ぐための事前確認

「現地に着いてから輸入できないことが発覚した」という事態に陥ると、シップバック(強制的な積戻し)が発生し多額の返送費用がかかるだけでなく、最悪の場合は現地で廃棄処分となってしまいます。
これを防ぐためには、出荷前に商品の「HSコード(輸出入統計品目番号)」や成分表を照らし合わせ、現地の規制を徹底的に調査することが不可欠です。国ごとに異なる複雑な法律や必要書類については、ジェトロ(日本貿易振興機構)などの専門機関や、現地のお取引先様と連携し、荷主様側で事前に確実な確認を進めていただく必要があります。

まとめ:相手国の文化を尊重することが、輸出成功の鍵

食品の輸入規制が敷かれる背景には、原材料の安全性への考え方だけでなく、各国の風習や歴史、宗教に根ざした「価値観の違い」が大きく影響しています。
日本では日常的に親しまれている食品であっても、海外では受け止め方が異なるケースは少なくありません。私たちが「相手国の規制が厳しい」と感じてしまうのは、自国と相手国との基準にそれだけ多様な文化の差があるからだと言えます。また、食品規制は純粋な衛生上の理由だけでなく、自国の農業や産業を守るための背景(非関税障壁など)が絡むこともあります。

こうした各国の規制や制度は、一見すると少し複雑に感じられるかもしれません。しかし、相手国の食文化や歴史的背景、価値観を丁寧に紐解きながら準備を進めることは、現地市場への深い理解につながり、日本の素晴らしい食文化を届ける確かな可能性へと道を開いてくれます。

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