2025.10.21

ASEAN物流再編の兆し、セイノーロジックスのインドネシア向け混載サービス

ASEAN最大の人口を抱え、成長を続けるインドネシア。特にジャワ島にある首都ジャカルタは、日本企業の進出や輸出入需要が集中する重要拠点です。この記事ではインドネシア文化を背景とする輸送上の注意点など、インドネシア向け輸送において欠かせないポイントを解説します。

インドネシアの輸入通関ルール

インドネシア向けの輸出入に関わる際、最初に意識しておきたいのが「制度の変動リスク」です。 法令や制度が頻繁に変更されるため、最新の情報を把握しておくことがリスクを最小化するポイントです。

 SNI(インドネシア国家規格)とは? 

SNI(インドネシア国家規格)は、日本でいうJISにあたる制度。一部の製品に対して、インドネシア国内で流通・販売する前にSNIの認証を取得していることが求められます。このSNIの「適用範囲」が年々拡大しており、以前は対象外だった品目がSNI認証対象となっているケースがあります。

 セーフガード措置と輸入規制 

特定の輸入品に対する関税引き上げや数量制限措置(セーフガード)が発動されることもあります。これは自国産業の保護を目的とした制度で、中国製セラミックタイル(2018年〜)や鉄鋼の一部品目(I形鋼/H形鋼等)の措置延長(2018年以降)で実施されました。
また、中古品の輸入は原則禁止とされており、近年はその解釈が広がる傾向にあります。

 ジャカルタ一極集中からの分散へ 

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現在、首都ジャカルタに集中していた物流や産業の機能を分散させる動きが進んでいます。
人口密集による交通渋滞や用地の逼迫、コスト上昇といった課題を背景に、インドネシア政府は周辺地域の開発や新たな港湾整備などを通じて、物流の流れを再編しようとしています。

パティンバン新港の稼働

西ジャワ州スバン県に位置するパティンバン新港は、ジャカルタのタンジュンプリオク港の混雑を緩和する目的で整備が進められている新しい港です。2020年に第一段階が完成し、将来的には自動車やコンテナの主要取扱港として本格稼働が見込まれています。
政府は、首都圏の第二拠点として国際的な存在感の強化を掲げ、段階整備で取り扱い物量も25万TEU→190万TEU級へ拡張する計画を進行中です。シンガポール港やポートケラン(ポートクラン)港に次ぐ拠点として、国際的にも存在感を強めつつあります。

新興の工業団地とインフラ整備

日系企業にも馴染みのあるジャカルタ近郊の大規模工業団地チカランとカラワンに加え、地方都市でも新たな工業団地の開発が進んでいます。インフラ整備も同時に計画されており、道路や鉄道のアクセス改善と連動することで、新しい物流拠点としての注目度が高まっています。

首都移転と物流網の広がり

首都ジャカルタは物流の混雑だけでなく、近傍の活断層や地盤沈下に伴う洪水リスクが指摘され、地盤沈下による洪水も頻発する立地のため、カリマンタン島への首都移転計画(ヌサンタラ構想)が進行中です。

すでに大統領府の中枢機能は新首都に移転を完了し、2024年にはインドネシアの独立記念式典がヌサンタラで初めて行われました。2045年の完成に向け、周辺地域では港湾整備や物流ハブの機能集約も進められ、ジャワ島以外を経由した貨物流通網が広がりつつあります。

今後はジャカルタ圏だけでなく、地方都市やジャワ島以外の島々まで物流の動きが広がっていく中で、インドネシアがASEANの中で存在感を増していくと予想されています。

 宗教と文化の多様性 

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インドネシアは世界最大のイスラム教国として知られていますが、地域ごとにキリスト教やヒンドゥー教なども広く信仰されており、多様な宗教・文化が共存しています。

首都ジャカルタの中心部では、道路を挟んで大モスクとキリスト教会が隣り合うなど、互いの信仰を尊重する都市設計や空気感が自然と根付いているのが印象的です。

物流にも影響のある行事としては、ラマダン(断食月)とレバラン(ラマダン明けの大型連休)があります。ラマダン期間中は就業時間が短縮される企業が多く、通関や港湾での処理が通常よりも時間を要する可能性があります。 断食期間中は、従業員の集中力低下や一時的な体調変化が見受けられることがあり、業務遂行やコミュニケーションに時間的な余裕を確保することが重要です。

ラマダン明けの大型連休レバランでは、多くの人々が故郷へと帰省する「ムディック」によって、1.5億人以上が移動します。そのため、この時期にはトラック輸送の稼働率が一時的に低下する傾向があります。2025年4月には、休暇前後の2週間、市内での貨物トラック走行に規制がかけられたことで港付近でも大規模な渋滞が発生し、弊社代理店のトラックも長時間の待機が必要となるケースもありました。

レバラン期間に限らず、平時でも渋滞が多く発生し、降雨時に冠水し通行止めになるケースもあります。インドネシア国内のトラック輸送については、計画にゆとりを持たせることが肝要です。

日本向け混載に特化する代理店の連携

セイノーロジックスは、現地代理店 PT. MULTILINK TRANS INDONESIA(マルチリンク・トランス・インドネシア)と提携し、20余年の確かな実績を重ねています。

PT.MULTILINK TRANS INDONESIAはジャカルタにある国際貨物輸送会社として、長年日本とのビジネスに特化し、インドネシア国内においては、DOOR TO DOORなどのサービスも幅広く提供しています。また、日本流の働き方にも親和性のあるパートナーで、私たちの日本人駐在員も常駐して協働しています。

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まとめ

インドネシアは東南アジア最大の人口と経済成長を背景に成長を続け、2045年に首都移転が完了する頃には先進国のひとつになると期待されています。
セーフガード措置など制度の変動が大きいインドネシアですが、セイノーロジックスは首都ジャカルタに日本人駐在員を常駐し、現地の物流事情に精通するパートナーと協働。日本発ジャカルタ向けの多様な物流ニーズに対応しています。

インドネシア向けのダイレクト混載サービスをご検討中のお客様は、ぜひお気軽にご相談ください。