2022.06.24

駐在員の現場から!日本人駐在員のミッションとは

企業がアメリカに荷物を送りたい場合に、さまざまな背景から直行便がブッキングできないケースがあります。基本的には直行便での対応を優先しますが、スペースの空きがない場合には状況に応じて提案させていただくのが代替ルートです。

弊社(セイノーロジックス株式会社)はそんな場合の代替ルートを、東岸と西岸の両方で持っています。通常と異なるルートで不安に思われるかもしれませんが、現地では弊社日本人駐在員が経験とネットワークを活用して、円滑な物流をサポートしています。

今回の記事では、安定した物流の要となるこの海外駐在員についてご紹介します。アメリカに輸出を行う荷主企業の皆様は、ぜひ参考にしてください。

日本人社員の現地駐在を重視するセイノーロジックス

弊社はかねてから安定した国際輸送実現のために、アメリカやパナマ、ヨーロッパの経由地もしくは経由地にすぐ足を運べる要所に日本人駐在員を派遣しています。

海外駐在員に選ばれるのは、日本で国内営業を経験した日本人社員です。

国際物流の営業実務の豊富な経験を積んでいて、国際物流の何がポイントで何がボトルネックになるのかを駐在員はみな、肌感覚で知っています。だからこそ国内営業が、ひいてはその先のお客様が本当に必要とする情報の粒度やスピード感を理解して対応できるのです。

文化や価値観、ビジネスカルチャーも異なる現地スタッフだけでは、日本流ビジネスの美点であるきめ細かい配慮の実現は困難です。弊社駐在員は現地の文化を理解し尊重した上で、日本のお客様からの要望に応えられるよう橋渡しをする役割を担っています。

各国駐在の現場から

弊社が初めて海外駐在員をロサンゼルスに派遣してから20年以上が経ちました。

国ごとに様々な面で事情が異なり、国際情勢も目まぐるしく変わりゆく中で、駐在員は日本のお客様の商品を無事に目的地に届けることを最優先して仕事に取り組んできました。

ここでは、特にアメリカ代替ルートと関係が深い経由地の駐在現場を紹介します。

アメリカの現場から

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弊社はアメリカにおいて2000年4月にロサンゼルス駐在事務所を開設し、2003年8月にはニューヨーク駐在事務所を開設、2006年4月にシカゴ駐在事務所を開設しました。

当初は、それぞれの駐在員たちが現地の人たちとのコミュニケーションに苦労する場面もありました。そんな中でも日本流、とりわけセイノーロジックス仕込みの誠実な姿勢で仕事に取り組み、現地のビジネスカルチャーではなかなか理解されにくい要求も根気よく説明してきました。

たとえば海外では、100カートン中2カートンがダメージを受けていると「2カートンで済んだ!」という考え方をする国もありますが、弊社駐在員は「2カートンも?それはいけない!」とばかりに、直ちに改善のためのアクションを開始します。

地道なコミュニケーションを何年も重ね、やがて現地の人たちは、駐在員の姿勢に理解を示してくれるようになりました。

ほかにも、ある倉庫の貨物の扱いが杜撰で、駐在員が働きかけても改善の兆しがなかなか見いだせない事例がありました。そこで駐在員はあちこちの倉庫を探し、「ここなら!」と思える、丁寧でクオリティの安定した作業を行う倉庫に出会います。

しかし倉庫はセイノーロジックスが直接契約するのではなく、代理店のCAROTRANSが契約するものです。その上、代理店はマネジメントの煩雑さから、そもそもベンダーを増やしたくないという気持ちもあったでしょう。

それでも駐在員が真摯に提案したところ、難色を示しても無理はないはずのCAROTRANSが「セイノーロジックスがそう考えるなら、我々のほかの客先にもメリットがあるだろう」と、特別にその倉庫との契約を快諾してくれたのです。

その一件は、輸送のクオリティ向上と安定に大きく貢献しました。

パナマの現場から

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パナマでは2019年から現地大手代理店 PIER 17 PANAMAと契約を開始。2021年11月にパナマ駐在事務所を開設しています。現地での輸送状況の把握や、現地代理店との現場での連携、きめ細かな貨物のトレース、円滑なトランシップ(積み替え)などの全面的なサポートを展開しています。

パナマの日本人駐在員は代理店 PIER 17 PANAMA 内での信頼構築はもちろん、カリブや中南米エリアで積極的にネットワークを形成しています。

特定の貨物が、パナマ以降のカリブ海諸国のどこにあるかをトレースするのは、従来は非常に困難な作業でした。現地の人たちにすれば、なぜそんな情報が必要なのか理解しづらく、正確な回答が得にくい状況でした。

それでも誠実に日本流の仕事のあり方を行動で示し続け、今では各国の状況を速やかに聞けるような関係性を代理店内で構築しています。

パナマの港に到着した貨物は、ひとまずパブリックの倉庫に入ります。関係を構築した倉庫スタッフとの緊密なやりとりで、貨物の状態が確認できるようになっています。

ヨーロッパの現場から

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ロッテルダム経由のアメリカ便は、業界内でもユニークな代替ルートです。航路としては日本を出てからシンガポールに向かい、スエズ運河を通過してオランダのロッテルダムからアメリカ東岸を目指します。

そのロッテルダムに弊社の駐在事務所が開設されたのは、2001年8月です。ヨーロッパ駐在は現在で3人目となりますが、歴代の駐在員は現地スタッフからニックネームをいただくほど、友好的な現地ネットワークを確立しています。

また、駐在員は駐在地だけでなく、ヨーロッパ内の各地を訪問して顔をつなぎ、現地の人たちとのネットワーク形成を欠かさず続けています。

ロッテルダムでは年月を掛けて、日本のビジネス感覚でも違和感がないほどの強固なネットワークが構築できました。現地代理店だけでも要望に細やかに対応できる体制になり、次の段階としてドイツの重要な物流ポイント、ハンブルグに進出したのが2016年3月です。

駐在員が現在デスクを持つハンブルグの代理店は、ロッテルダムにも代理店を持つ世界的な代理店グループです。駐在員はハンブルグを拠点に欧州全域をカバーしています。

一国一代理店へのこだわりはセイノーロジックスの現場主義から

弊社ではただ単に貨物という「モノ」を運ぶだけではなく、経由地はもちろん仕向地も含めた現地での情報共有と連携、その基盤となる信頼関係を大切にしています。

それは、常に動きを伴う国際輸送サービスのクオリティが、関わる人間の取り組み姿勢や配慮によって左右されるからにほかなりません。

代理店を国ごとに1つだけに絞ることによって、Face to Face, Shoulder to Shoulderで信頼を熟成し、現地でスムーズに接続の手配やトレース、状況の調査などができる関係を構築しています。

代理店の選定の基準は、信頼性はもちろんのこと、弊社の仕事に対する考え方や立場に理解を示してくれる想いも大切です。その上で、日本的な丁寧かつ正確で信頼感あるサービスが進められるように日本人駐在員を現地に派遣し、良好な関係を構築しています。

アメリカのCAROTRANS USAやパナマのPIER 17 PANAMAなど、弊社の代理店は各国トップクラスの信頼できる大手代理店です。

各国代理店と弊社が互いを尊重し、共感を重ねて今日の厚い相互信頼の関係が築き上げられました。それは駐在員の仕事に取り組む姿勢が、現地で評価されたからこそだと考えています。

駐在員が胸に刻むミッション

弊社は以上に紹介したほかに、ミラノやホーチミンにも駐在事務所を開設しています。

いずれの駐在員も現地商習慣を理解・尊重しながら現地スタッフとの関係を深め、同時に代理店への日本的ビジネスカルチャーの理解・浸透を図ります。また、一時帰国の際は国内営業スタッフとともに荷主様へ挨拶に回ります。単に経由地での対応だけでなく、輸送の入口から出口までが責任範囲と捉えているからです。

こうして距離的には離れていても、駐在員と国内営業たちがワンチームとなって国際物流をサポートしています。

また私たちはただ貨物を届けるだけとは考えません。日本から世界に出ていく商品には、代替が利かない高付加価値の部品や他国では作れない酒類など、日本ならではのものが多いです。それが無事に目的地に届いてこそ商品として、あるいは組み立てられて製品となって各国市場に出ていきます。

世界の人々が日本発の価値で暮らしを彩るための、地球に広がるサプライチェーンの架け橋を担うミッションこそ、セイノーロジックス駐在員の誇りです。

まとめ

セイノーロジックスは、混載業者としてHUBとなるポイントに積極的に海外駐在事務所を開設してきました。駐在員は弊社にとって、日本のお客様に安心して荷物をお任せいただけるよう、現地の物流を円滑にする要であると考えています。

物流とデジタルの融合は時代の趨勢である一方、リアルに貨物を動かすのは現場の「人」です。どちらかに偏るのではなくバランスの取れたハイブリッドな物流業務の推進こそが重要です。

日本を出た後の貨物の状態は、一般的に把握しづらいものです。弊社駐在員は現地で築いた強固なネットワークを活かし、正確で新しい情報を届ける努力を続け、安全な輸送をサポートします。

アメリカ向けの貨物を送る手段に迷っておられる荷主企業の皆様は、混載コンテナ輸送のセイノーロジックスにお気軽にご相談ください。