2026.01.09

【インド向け輸出のご担当者様必見】インドの港や交通網などの物流インフラをわかりやすく解説

インド経済の急成長に伴い、インド向けの輸出量も増えている昨今、多くの荷主様が、現地の物流インフラや複雑な制度に関する情報不足といった問題を抱えています。
本記事は、現地駐在員による最新の知見に基づき、日本と異なるCY、CFS、ICDの役割や、遅延が慢性化するインド内陸輸送の現状と改善に向けた政府プロジェクトの全貌を詳解します。

<この記事からわかること>

本記事を読む時間がない方は、こちらのお役立ち資料をご活用ください。

お役立ち資料:知っておきたい!インドのインフラと関税制度

成長市場インドのポテンシャル:経済と注目すべき産業動向

インド経済はコロナ禍以降も驚異的な回復力と成長を維持しています。2023年に8.2%の高成長を達成した後、2024年は6.5%と一時的な調整局面に入りましたが、2025年には再び8%台の成長ペースを取り戻しています。2026年に名目GDPでついに日本を上回り、2029年にはドイツをも抜き去り、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の経済大国となることが確実視されています。(※2025年12月現在)

この成長を牽引する中核産業は3つ挙げられます。
1つ目はIT情報技術です。GoogleやMicrosoftなどのグローバル企業がインドにも拠点を置いています。GAFAなどのソフトウェア開発の大きな柱を担っており、今後は半導体製造分野への挑戦も続きます。
2つ目は医薬品製造です。特にジェネリック医薬品の製造と輸出に注力しており、インド国内で大きな成長産業となっています。
3つ目は電気自動車(EV)です。政府主導でEV化が促進されており、将来的に伸びる可能性を秘めた注目産業です。スズキやトヨタなどの日本企業も連携して生産・販売に取り組んでいます。

インドの港と内陸物流の仕組み

それぞれの港の役割 

インドの港は、政府管轄のメジャーポート(13港)と民間管轄のマイナーポート(200港以上)に大別されます。元々はメジャーポートが輸送の中心でしたが、現在はマイナーポートも成長し、貨物輸送を補完しています。

それぞれの港の役割

海上混載輸送で主に利用される港

・ナバシェバ港(ムンバイ 港)
:
コンテナ取扱量第1位を誇るインド最大の港です。内陸部向け貨物の主要な玄関口で、インド西部から北部(デリーなど)の北部の都市に向けた貨物が集まります。
・チェンナイ港:
南インドの玄関港であり、自動車産業が集中するエリアに位置しています。自動車部品や機械部品の取り扱いが多く、東アジアや東南アジアとの輸出入拠点です。
・カトパリ港:
チェンナイ港の混雑解消のため開設されました。船社によっては、従来チェンナイ港で扱っていた貨物が移管される傾向にあり、取扱量は年々増加しています。

その他の主要な港

・ムンドラ港:
インド初のマイナーポートです。 FCLと在来船などの大型貨物を扱います。内陸への交通アクセスも良く、都市部への輸送を得意としています。
・コルカタ港:
河川港のため入港制限がありますが、インド北部・ネパール・ブータンなどの貨物を多く扱う、中央アジアの玄関口です。

 

インドにおけるCY・CFS・ICDの独特な業務領域 

インドにおけるCY、CFS、ICDは、日本と業務領域が異なります。業務範囲の認識のズレは、物流チェーンにおける遅延や混乱の原因となりえるため注意が必要です。

india_cy_cfs_icd




特  徴

CY
コンテナヤード

インドのCYは敷地面積が狭く、主にコンテナの船積みと荷降ろしのみを行います。輸入通関作業はCYでは行わず、CFSやICDへ転送された後に行われます。コンテナはCYからCFSへ2日以内に回送されるのが一般的です。

CFS
コンテナフレイト
ステーション
 

港の近隣5kmから20km圏内にあり、日本におけるCYとCFSの機能を兼ね備えた施設です。LCLかFCLかを問わず、デバンニングや輸出入通関作業がここで実施されます。LCLの場合、搬入先CFSは混載業者ごとに決まっています。

ICD
インランドコンテナデポ
(内陸コンテナデポ) 

バンニング、デバンニング、通関作業を行う内陸の倉庫(デポ)です。
ICDは鉄道で港と直結している倉庫もあれば、トラック輸送のみの倉庫も存在します。

インドの主要CFS

ここでは以下のCFS/ICDについて解説します。

ナバシェバ
チェンナイ
デリー
バンガロール

 ナバシェバ港周辺のCFSの特徴


ナバシェバ港周辺のCFSの特徴インド最大のコンテナ港であるナバシェバ港周辺には、40以上のCFSが点在しています。弊社が利用するPSA Ameya CFSは、ナバシェバ港から約15kmの距離に位置します。
ナバシェバCFSはインド西部やデリーなどの北部の内陸エリアへ輸送する貨物が多く集まります。
セイノーロジックスの現地代理店のオペレーションスタッフがCFSに常駐しており、緊急時にも対応できる体制です。

チェンナイ港周辺のCFSの特徴

チェンナイ港周辺のCFSの特徴
チェンナイ周辺では、多くの混載輸送業者が定期便のLCLサービスを提供しています。
発送の準備ができた商品をすぐに輸出することができ、在庫リスクの軽減にもつながります。
また、定期的な輸送を実現できることから、物流倉庫などにおいて在庫管理の手間を軽減することができ、物流コスト全体の面でも最適化を実現できます。

デリーの主要ICD

デリーの主要ICD

ICD PPG(PATPARGANJ パトパルガンジ)はLCL貨物に特化した施設で、運営はCWC(Central Warehousing Corporation)が行っています。ICD PPGは鉄道に接続しておらず、搬出入は100%トラックでのみ行われます。
コンテナの到着からデバンニング作業まで即日で実施され、煩雑になりがちなLCL貨物の輸入通関も比較的スムーズに行われています。
弊社サービスはナバシェバCFSから保税トラックで輸送されます。

ICD TKD(TUGHLAKABAD トゥクラガバド)はコンコール(CONCOR)が運営する倉庫です。CONCORはインド鉄道省管轄の国営企業で、港湾と内陸を結ぶ貨物列車の運行およびICDやCFSのコンテナターミナル運営が主力事業です。
ICD TKDはピパバブ港から鉄道で直結しており、CONCORの自社ターミナル内に倉庫が存在します。そのためFCL貨物で利用されることが多いですが、LCL貨物でも引っ越し貨物や長尺貨物などの特殊貨物にも対応できる点が特徴です。
弊社では2パターンの輸送方法があり、引っ越しシーズン限定でのICD TKDダイレクトサービスと、ナバシェバCFSから保税トラックで輸送するサービスを提供しています。

サービス情報:セイノーロジックスのニューデリー向けダイレクト混載サービス

バンガロールの主要ICD

バンガロールの主要ICD

バンガロールでは、WHITE FIELDと呼ばれるエリアにICDが集中しており、倉庫の名前も〇〇WHITEFIELDと呼ばれています。バンガロール全体の特徴としては、税関が比較的寛容なことが挙げられます。ICD WHITEFIELDが鉄道接続でFCL貨物の取り扱いがほとんどです。一方、CWC WHITEFIELDはLCLに特化した倉庫となり、100%トラックでの搬出入になります。
弊社サービスではチェンナイ CFSより保税トラック輸送でCWC WHITEFIELDまで輸送いたします。

インドの物流網と、慢性的な課題の解決に向けた取り組み

インドの道路網と課題

インドの主要な道路ネットワークは「黄金の四角形(GQ)」と呼ばれています。GQはデリー、ムンバイ、チェンナイ、コルカタの4大経済都市を四角形に結んでいます。
GQ、North-South Corridor、East-West Corridorを合わせた道路網が、インド国内の貨物輸送の約65%を担っています。各港から内陸部の工業地帯までインド全土を網羅しています。

インドの道路網と課題
しかし、道路インフラには長年、課題が残っています。簡易的な補修を繰り返しているため、道路はデコボコになっている箇所が多く見られます。また、走行中に突然出くわす穴や、道路を歩く牛の群れなど、物流の障害となる要素が散見されます。

朝8時~11時頃、夜5時~10時頃は特に渋滞がひどくなります。この渋滞は、港でのコンテナの搬出入にも大きな影響を与えることがしばしばあります。かつては州ごとに異なる税制があり、州をまたいだ輸送ではこの徴収の場面で深刻な汚職が発生していました。現在は統一税であるIGSTに切り替わり、税制面の透明性は改善されています。

長年の課題である道路の整備状況の悪さや、都市部での慢性的な渋滞を解決するため、インド政府は大型インフラ整備プロジェクトを進めています。

インド道路

道路網の整備(バーラトマラ・プロジェクト)

デリー、ムンバイ、チェンナイ、コルカタを結ぶ「黄金の四角形(GQ)」を含む、国道と高速道路について、インフラ整備として以下2つの国家プロジェクトが進行中です。
1. 既存の国道の拡幅及び再開発 (Brownfield)
2. 新たな高速道路の開発及び建設 (Greenfield)

2では、デリー~ムンバイ間で全長1,382kmの高速道路が建設中です。これにより、デリー~ムンバイ間の所要時間が12時間に短縮されるなど、輸送能力の飛躍的な向上が期待されています。ただし、完成予定時期が当初の2023年から2027年へと延期されています。(※2025年12月時点)

インフラ改善は時間を要しますが、インド政府は継続的な投資を続けており、改善が段階的に進行しているという事実を前向きに捉えることができるでしょう。

インドの鉄道網と課題

インド鉄道(Indian Railways:IR)は、旅客事業と貨物事業を中心とする国有鉄道です。IRは総路線距離が世界第4位であり、インドの広大な国土における輸送インフラとして極めて重要な役割を果たしています。
IRの貨物事業において、メインのオペレーターであり、鉄道直結のICD運営を行うのはコンコール(CONCOR)です。CONCORはインド政府の鉄道省傘下の国営企業であり、42箇所の輸出入ターミナルを運営しています。

鉄道は港から内陸への貨物輸送において、特に重要な役割を担っています。しかし、旅客鉄道と貨物鉄道が同じ路線を走行するため、長年にわたり多くの制限や課題を抱えています。
例えば、積載貨物が90TEUに達した時点で列車を発車させる運用となっているため、発車時刻は一定ではありません。
さらに、速度や重量にも制限があるため、長距離輸送では慢性的な遅延が発生しやすい状況です。この遅延は、内陸部の物流計画を立てる上での大きな問題点とされてきました。この問題を解決するため、政府主導の大型プロジェクトが推進されています。

貨物専用鉄道建設計画 (DFC:Dedicated Freight Corridor Corporation of India Limited)

DFC路線図旅客鉄道と貨物鉄道が同じ路線を走行するために起きていた慢性的な遅延や制限を解消するための貨物専用鉄道建設計画 (DFC)と呼ばれる国家プロジェクトが動いています。

貨物専用鉄道では、コンテナの2段積みが可能になり、平均速度は時速25kmから65kmに向上します。また将来的な産業競争力の強化や環境負荷の低減にも寄与するとされ、国家レベルで優先度の高いインフラ整備として位置づけられています。

西部DFC(デリー~ムンバイ)では、日本のODAにより資金・技術支援が行われ、高規格軌道、電化、信号・運行管理などに日本の鉄道技術が活用されています。

インド向けの輸出に関してよくある質問(FAQ)

 


Q1. インドの主要港であるナバシェバ港とチェンナイ港は、内陸のどのエリアへ輸送されるルートで利用されることが多いですか?
A. ナバシェバ港(ムンバイ港)は、インド西部から北部にかけての貨物、特にデリーへの輸送ルートの主要玄関口です。
一方、チェンナイ港はバンガロールやハイデラバードなどインド南部の主要玄関口です。


Q2. インド向け混載便(LCL)輸送において、CFS(コンテナフレイトステーション)を選ぶ際の注意点を教えてください。
A. LCL貨物の場合、搬入先のCFSは混載業者ごとに決まっており、選択することはできません。
FCL輸送のように荷受人が複数の候補から選択する制度(ノミネーションCFS)はLCL輸送にはありません。


Q3. デリーへの輸送において、内陸コンテナデポ(ICD)を選択する際のポイントは何ですか?
A. デリー周辺には、LCL貨物に特化し税関作業が比較的スムーズなICD PPG(PATPARGANJ パトパルガンジ)と、ピパバブ港から鉄道直結でFCLや特殊貨物に適したICD TKD(TUGHLAKABAD トゥクラガバド)があります。
効率化のため、貨物の特性に応じた選択が必要です。


Q4. インド 内陸向けの輸送において鉄道輸送の遅延が問題となっていますが、今後改善される見込みはありますか?

A. はい、改善される見込みがあります。インド政府は、旅客鉄道から分離した貨物専用鉄道(DFC)の建設を国家プロジェクトとして進めています。
DFCが完成すると、平均速度の向上やコンテナの2段積みが可能となり、長距離輸送の効率が大幅に改善される予定です。


 

まとめ

IT、医薬品、EV産業などの隆盛により、インドの経済成長は留まるところを知りません。
しかし、本記事で解説した通り、インドの物流インフラには日本とは異なる独自の商慣習や課題が存在します。CYやCFS、ICDといった施設の役割の違い、ナバシェバやチェンナイなど港ごとの特性、そして慢性的な渋滞や鉄道の制限といった内陸輸送のリスク。これらは一朝一夕に解決するものではありませんが、政府主導の「貨物専用鉄道(DFC)」や道路網整備などのプロジェクトにより、着実に改善も進んでいます。
成長市場の波に乗るためには、インド物流の「今」を知り、現地のリアルな情報やインフラの改善状況にアンテナを張り、必要な情報を集めながらインド特有の物流事情に適応していくことが重要です。
弊社は、インド国内に日本人駐在員を常駐させており、現地側でのサポート体制も万全です。また、長年の経験と現地代理店との強固な現地代理店との強固なネットワークを活かし、インド向けの輸送サービスを多数ご用意しております。インド向け輸出をご検討の際は、ぜひセイノーロジックスへお気軽にご相談ください。

本記事に記載のないインフラ事情につきましてもこちらの動画でご紹介しております。

お役立ち動画: いまさら聞けない?現地駐在員が語るインドの物流インフラ

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